日々、オイカワ

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日々、オイカワとして 



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いつもの〝馴染み〟の仲間が集まる。

気取りなくお互いを慕いあいオイカワに魅了されバイクとフライフィッシングを愛する、
そんなひそやかな熱気を携えたボクらは初冬の空気を滲ませ始めたGLお気に入りの〝いつもの川〟に降り立った。


11月23日


数日前の陽気とはうってかわり、曇天の如何にも溜め込んだ雨水を
その口から吐出そうとする、そんなグレイッシュな雲がボクらの頭上を覆いつくしていた。


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この天気、この寒さだ、反応ないだろう。
そう思ってボクはみんなの姿を川辺の石に腰かけゆっくり眺めていた。

川幅の広いこの川に集まった8人が目に映る川辺の端から端へと
ポツリポツリとお互いを干渉しないふうに立ちこんで思い思いに竿を振っていた。

「みんな苦戦しているようだ…」と思いきや、反応はあるらしい。ただフッキングが悪いようだ。
それでもオイカワの居着く場所を見つけた仲間たちは(どうやらオイカワたちは流れの大きい筋を避け
比較的に緩い流れの脇の筋に小さく群れを作って潜んでいたようだ)これまたポツリポツリとながらも
オイカワたちの感触を楽しんでいた。

それを見てさすがのボクも川に入ってみたいという細やかながらも滾るものを
心の奥底から感じていた。

────

ここに来るのは5月上旬以来。久しぶりというにはあまりに疎遠になったこの川を
もう〝いつもの川〟とボクは呼んではいけないような気がしていた。

じゃあ、釣りをしていなかったのか?って、そうじゃない。
今季はこの仲間たちと驚くほどの力強いハスたちや渓魚かと思うほど
大きく育ったオイカワたちの集まるとある場所へ数多く出かけて行ってたのだ。


スクリーンショット のコピー


あまりに行き過ぎてたこと。その場所は大切な友達が大事にしている場所。
だから段々とブログとして記事にするのを躊躇して更新するのを止めてしまったのだ。


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(all photo by Nさん)


振り返ってみると全てが楽しかった。愛車であるヴェスパGLを初夏の爽やかの風のもとで走らせ、
時には見事に降られた雨に打たれ滑る路面を駆けていった。跨がるヴェスパの鼓動を身軀に感じつつ、
これまでにない世界感に魅了され目の前の景色とともに過ぎ去っていった。


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──20年前〝Zacco Fly fishing〟という言葉がなかった時に初めてオイカワフライフィッシングを試したSAGEの8ft 4番ロッド。
そのときは全く釣れなかった。しかし今季、長い時を超えてとある場所にて婚姻色を纏ったオスオイカワにようやく出逢えた。
なんとも感慨深い瞬間であったことは言うまでもない。


最近、友達はボクのことを〝不埒者〟と呼ぶ。何故かってあまり竿を振らないからだ。
それは釣りがひとつのピースに過ぎなくなってしまっている今のボクの気持ちの表れからだろう。
もちろん釣れたほうが楽しいは分かっている。でもこの仲間たちと集い過ごす時間、
綻んだ顔で交わす会話、それが嬉しいのだ。

〝いつもの川〟に立ちこみ、晩秋の風に頬を撫でられ、
ラインを空中に飛ばしながらそんなことを思い、考えに耽っていた。

そして、しばし川と独り向き合う時間を楽しんだ。
浮かび去るドライフライを見つめたり、ターンして筋に入り込むラインの先に結んだウェットが
沈んであろう流れを眺めたり、足元を水で浸し独り川と一体になるこの感覚が非常に心地良い。


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結局、この日のボクにはオイカワは挨拶してくれなかった。
それでも心を和ませる貴重な時間を今回も過ごせたことは言うまでもない。

そして冷えはじめた体を癒すよう川から上がり、
わずかな釣行となった今季の〝いつもの川〟を見つめ、
やがて訪れる冬の風景を想いつつ仲間たちの集まるもとへと
引き上げていくのであった。








*******

最後の句点をキーボードで打ち終え、煙草を吹かしに深夜の扉をあけ外に出てみた。
路上は驚くほどの濃い霧に包まれていた。それまで瞬いていた夜空の煌めく星は消え失せ、
蒼白い月と立ち並ぶ街灯のあかりがどちらが月で街灯かが分からなくなるくらい朧いでいた。

唇から旅立つ煙草の煙が霧にまぎれ見分けがつかない
街なかにしては音の無い白っぽい闇夜の空のもとで燻らす煙をしばし愉しんだ。

しばらくして短くなった煙草の火を消し、凍てつく空気に包まれながら部屋に戻った。
気づけば午前3時。そろそろ休むことにしよう。

終わりの季節が来てしまった。再度、仲間たちとかけがえのない時間を過ごせることを願おう。
それでは来季、目覚めた時にまたお会いしましょう。

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(photo by mihiro さん)




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